ロマンスグレーBon

妹から携帯にメールが届く

“兄ちゃん　二人だけで話したいことがあるけん都合の良い時

連絡くれる？”

妹よ　君は１０歳違いで　母の再婚相手の人の長女として生まれた。

今と違って　産婦人科は病室はあるが　皆各自自炊

そんな病院で生まれた。　色の黒い子だった。

君の父親は君をとても大事に育てた。

その父親は　君が４歳くらいの時　胃ガン　で亡くなった。痩せ細って。

まだ父親の死が分らないのか多くの参列者の中を走りまわっていた。


そうして２０代後半　母が　乳がん　になったなあ。

手術の同意書や手術が終わって　全摘出された　母の乳房を

２人で立ち会って確認したよなあ。


約４年半前　私が　大腸ガン　の手術をした。

母や君には心配かけまいと知らさなかった。


“兄ちゃん、私乳がんの手術したんよ”

オイ、オマエモカ！

お互い兄妹じゃのう。心配かけまいと母や私には知らさずに。

母には急ぎの仕事が入って朝早くから晩遅くまで家に帰れない

と言って。

私がガンになっても　特に何の感慨も起きなかった。

なったんやから仕方がないやんか。

あかんかたら、あかんかったときじゃ。



自分は良い。

だが母を除いた唯一の身内の君が　ガン　だと聞くのは

非常につらかった。

ただ私と同じように楽観的、楽天的な君の性格が救いだ。



母の全摘出を見ている君は　全摘出を拒んだ

これから　放射線治療や抗がん剤の治療が始まる。

母は手術をして２５年以上たった。

私も後、半年で術後５年が過ぎようとしている。

がんばろうな。　お互いに　

母にはとことん　嘘を　つき通そう。

こんな　嘘　なら神様も許してくれるやろ。　　多分・・・